国保制度改善強化全国大会 - 宣言及び決議 -
- 宣言 -
国民健康保険は制度創設以来、我が国の国民皆保険体制の中核を担い、地域医療の確保や地域住民の健康の維持増進に貢献してきた。しかしながら、中高年齢者が多く加入し一人当たり医療費が増加する一方、被保険者の所得水準が低く、保険料(税)の負担率が高いという構造的な問題を抱えている。このため、市町村においては被保険者にこれ以上負担を求めることは極めて困難であり、厳しい財政運営を強いられている。このような中、平成30年度より新たな国保制度が施行され、都道府県が財政運営の責任主体となり、公費の拡充による財政基盤の強化が図られたところであり、我々国保関係者は、国保制度を持続可能なものとするため、安定的な運営に最善を尽くしている。
しかしながら、国保が抱える構造的な問題に加え、少子高齢化の進展、被用者保険の適用拡大等に伴う被保険者数の減少や昨今の物価上昇の影響などにより、今後も安定的な運営が困難な状況が続くと想定される。
このため、国は、国保制度改革が実効あるものとなるよう毎年3,400億円の公費投入を確実に実施することなど財政支援の充実や、普通調整交付金の所得調整機能の堅持、医療費助成に係る地方単独事業の国庫負担減額調整措置の全廃、全国一律のこども医療費助成制度の創設、国保総合システムの開発等に対する必要な財政措置、地方の意見を十分に踏まえた医療・介護DXの推進などについて、国保制度の更なる改善強化に向け、責任を持って取り組んでいくべきである。
我々国保関係者は、ここに「国保制度改善強化全国大会」を開催し、組織の総意を結集して、本大会において決議を行い、一致団結してその実現に向け断固邁進することを誓うものである。
右 宣言する。
令和6年11月15日
国保制度改善強化全国大会
- 決議 -
本日ここに、全国の国民健康保険関係者が一堂に会し、国民健康保険が直面する諸問題の改善を期して、国保制度改善強化全国大会を開催し、慎重審議した結果、次のとおり満場一致これを採択した。国は、国民健康保険制度の現状を踏まえ、次の事項を必ず実現されるよう本大会の総意をもって強く要望する。
記 | |
一、 | 医療保険制度の一本化を早期に実現すること。 |
一、 | 国保の財政基盤強化のための公費投入の確保を確実に実施するとともに、保険者努力支援制度等が有効に活用されるよう、適切な評価と財政支援の充実を図ること。 |
一、 | 普通調整交付金が担う自治体間の所得調整機能を今後も堅持するとともに、生活保護受給者の国保等への加入の議論については、見直しを行わず国としての責任を果たすこと。 |
一、 | 被用者保険の適用拡大の検討に当たっては、国保の安定的な財政運営を確保し、保険者機能を堅持するという観点を踏まえること。 |
一、 | 医療・保健・介護人材の確保や地域偏在の解消のため総合的な対策を講じるとともに、公立病院等の医療提供体制を確保するため、十分な支援策を講じること。 |
一、 | 医療費助成に係る地方単独事業の国庫負担減額調整措置をすべて廃止するとともに、こどもの医療費助成に係る全国一律の制度の創設及びこどもに係る均等割保険料(税)の軽減制度の拡充を行うこと。 |
一、 | 子ども・子育て支援金制度については、国の責任において、国民の理解が十分得られるよう分かりやすく丁寧な周知、広報等を行うとともに、国保の運営に支障を及ぼすことがないよう必要な財政措置を確実に講じること。 |
一、 | 国保総合システムは、国保運営の基幹システムであり、その開発や運用に当たっては、市町村等保険者に追加的な財政負担が生じないよう、国の責任において必要な財政措置を確実に講じること。 |
一、 | 国保連合会が地方自治体の医療・保健・介護・福祉業務支援の役割を十分に果たせるよう、必要な措置を講じること。 |
一、 | 国民の健康保持・増進及び医療費適正化に向けKDBシステムの更なる活用を進めるため、制度的役割の拡充を図るとともにシステム更改等に係る財政措置を講じること。 | 一、 | 医療・介護DXの推進に当たっては、地方の意見を十分に踏まえるとともに、国の責任においてマイナ保険証の利用を促進し、従来の保険証の廃止に伴う追加的な事務に対して必要な支援を講じること。 | 一、 | 国民健康保険組合の健全な運営を確保すること。 |
令和6年11月15日
国保制度改善強化全国大会