令和5年度石川県国民健康保険団体連合会事業報告
国民健康保険は、地域住民の医療の確保と健康の保持増進に大きく貢献しているところであるが、少子高齢化の進展や様々な事情により被用者保険を脱退した低所得者などが増加する一方、被用者保険の適用拡大により一定の勤労所得を有する国保被保険者が被用者保険へ移行することに伴う構造的な課題の深刻化に加えて、医療技術の高度化等に伴う医療費の増加により、財政運営は極めて厳しい状況にある。地域住民がいつでも、どこでも安心して医療を受けられる国民皆保険制度を堅持するためには国保の安定が必要不可欠であるため、平成30年4月から都道府県が国保の財政運営の責任主体となり、国保運営の基盤強化が図られている。 こうした中、本会では、診療報酬審査支払業務においては、審査委員の専門分野を活用するとともに、全国統一判断基準の検討など地域間における審査基準の差異解消に努め適正な審査に取り組んだ。また、市町ごとに保有する資格情報等を都道府県単位で集約し市町間の情報連携等の支援に努め、さらには国保総合システムの機能を活用し保険者の共通した事務を一元的に電算処理することで、保険者事務の負担軽減が図られるよう努めた。 介護保険事業関係業務及び障害者総合支援法等関係業務では、審査及び支払の円滑な実施に加え、保険者等の事務を共同処理により支援することで事務負担の軽減と効率化が図られるよう努めた。 保険者が行う保健事業に対しては、健康寿命延伸と医療費適正 |
化に向け、生活習慣病の発症予防、重症化予防及び介護予防が効果的・効率的に展開できるよう支援した。具体的には、各種研修会の開催や保険者への個別訪問等を実施し、高齢者を含めた地域住民の健康の保持増進に努めた。また、石川県が行う「石川県国保ヘルスアップ支援事業」の一部を受託し、糖尿病性腎症重症化予防をはじめとした事業の支援に取り組み、重症化予防の更なる取組強化を図った。さらに、特定健診未受診者に対する電話勧奨事業及び受診勧奨はがきの作成など、受診率向上に向けた取り組みを引き続き支援した。 また、令和6年1月に発生した能登半島地震の被災者に適切な医療や介護サービスを速やかに提供するために、国や県からの要請に応じて、医療機関等からの照会に対し、国保連合会が保有する被保険者の罹患情報や要介護認定区分等情報を提供した。 安定的な組織基盤の確立に向けた取り組みとしては、本会が取り扱うレセプト等の機微な個人情報をはじめとした多くの情報を様々な脅威から保護するため、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)を維持・運用し、PDCAサイクルに沿った情報セキュリティ対策の強化に努めた。 また、事前協議の場として運営委員会を開催し、各理事の共通理解のもと事業を適正に実施するとともに、会計の透明化による業務の効率化や保険者の負担軽減に向けた取り組みを進めた。 このような状況のもとで、当国保連合会が実施した事業は、次のとおりである。 |
令和5年度石川県国民健康保険団体連合会歳入歳出決算総括表
