国保制度改善強化全国大会 - 宣言及び決議 -
- 宣言 -
国民健康保険は制度創設以来、我が国の国民皆保険体制の中核を担い、地域医療の確保や地域住民の健康の維持増進に貢献してきた。しかしながら、中高年齢者が多く加入し医療費が増加する一方、被保険者の所得水準が低く、保険料(税)の負担率が高いという構造的な問題を抱えている。このため、市町村においては被保険者にこれ以上負担を求めることは極めて困難であり、厳しい財政運営を強いられている。このような中、平成三十年度より新たな国保制度が施行され、都道府県が財政運営の責任主体となり、公費の拡充による財政基盤の強化が図られたが、国保制度を持続可能なものとするため、今後も国は制度運営について、責任を持って最大限の努力をしていく必要がある。
我々国保関係者は、引き続き国保の安定的な運営に最善を尽くしていく所存であるが、急速な高齢化等による医療費の更なる増加は必至であるほか、長引く新型コロナウイルス感染症の影響により、収入が減少した被保険者が増加しており、安定的な運営が困難な状況が続くと想定される。このため、国保制度の更なる改善強化に向け、国に対して以下を強く求めるものである。
今般の国保制度改革が実効あるものとなるよう、毎年三千四百億円の公費投入の確保を確実に実施するとともに、保険者努力支援制度が有効に活用されるよう、適切な評価を行いつつ、財政支援の拡充を図るべきである。
政府において普通調整交付金の配分方法等を見直す検討を行う方針が示されているが、同交付金が担う自治体間における所得調整機能は極めて重要であり、今後も堅持し、見直しを行うべきではない。
新型コロナウイルス感染症の影響が続く中で、国保制度の運営の安定を図るとともに、医療・保健・介護の人材及び公立病院等の医療提供体制を確保するため、地方自治体及び国保連合会に対して十分な支援措置を講じるべきである。
後期高齢者の2割負担の導入に当たっては、制度改正の目的や内容について、丁寧な周知を行うべきである。
全国の自治体が強く要望している子どもの医療費助成等の地方単独事業に係る国庫負担減額調整措置は、子どもの対象年齢に関わらず直ちに廃止するとともに、子どもに係る均等割保険料(税)を軽減する支援制度を拡充すべきである。
生活保護受給者の国保等への加入の議論については、国の財政負担を地方自治体や国民に付け替えるものであり、見直しは行わず引き続き国としての責任を果たすべきである。
国の意向を踏まえ実施する次期国保総合システムの更改や運用に係る経費については、保険者や被保険者に負担が生じないよう、国の責任において必要な財政処置を講じるべきである。
国民の健康保持・増進に向けて、KDBシステムの更なる活用が図られるよう、システム更改等に係る必要な財政処置を講じるべきである。
オンライン資格確認等システムの円滑な運用や、データヘルス改革の推進に当たっては、国の責任において十分な財政支援を行うなど必要な措置を講じるべきである。
以上の実現に向けて、我々国保関係者は、ここに「国保制度改善強化全国大会」を開催し、組織の総意を結集して、本大会において決議し、断固邁進することを誓うものである。
右 宣言する。
令和三年十一月十九日
国保制度改善強化全国大会
- 決議 -
本日ここに、全国の国民健康保険関係者が一堂に会し、国民健康保険が直面する諸課題の改善を期して、国保制度改善強化全国大会を開催し、慎重審議した結果、次のとおり満場一致これを採択した。国は国民健康保険制度の現状を踏まえ、次の事項を必ず実現されるよう本大会の総意を以って強く要望する。
記 | |
一、 | 医療保険制度の一本化を早期に実現すること。 |
一、 | 国保の財政基盤強化のための公費投入の確保を確実に実施するとともに、保険者努力支援制度等が有効に活用されるよう、適切な評価と財政支援の充実を図ること。 |
一、 | 普通調整交付金が担う自治体間における所得調整機能は、今後も堅持し、見直しを行わないこと。 |
一、 | 新型コロナウイルス感染症の影響が続く中で、国保制度の運営の安定を図るとともに、医療・保健・介護の人材及び公立病院等の医療提供体制を確保するため、地方自治体及び国保連合会に対して十分な支援措置を講じること。 |
一、 | 後期高齢者の2割負担の導入に当たっては、制度改正の目的や内容について丁寧な周知を行うこと。 |
一、 | 子どもの医療費助成等の地方単独事業に係る国庫負担減額調整措置の全廃及び子どもに係る均等割保険料(税)の軽減制度の拡充を行うこと。 |
一、 | 生活保護受給者の国保等への加入の議論については、見直しを行わず国としての責任を果たすこと。 |
一、 | 国保総合システムの次期更改や運用に当たっては、市町村等保険者に追加的な財政負担が生じないよう、国の責任において必要な財政処置を講じること。 |
一、 | 国民の健康保持・増進に向けて、KDBシステムの更なる活用が図られるよう、システム更改等に係る財政処置を講じること。 |
一、 | オンライン資格確認等システムの運用やデータヘルス改革の推進に当たっては、国の責任において財政支援をはじめ必要な処置を講じること。 |
一、 | 国民健康保険組合の健全な運営を確保すること。 |
令和三年十一月十九日
国保制度改善強化全国大会