第3回レセプト情報分析による生活習慣病対策推進事業学習会
去る令和7年1月24日、レセプト情報分析による生活習慣病対策推進事業学習会(第3回)が石川県地場産業振興センターで開催された。本学習会は、国保保険者が生活習慣病の発症・重症化予防に取り組むことで医療費の適正化を図るため、データ分析から事業評価に至るPDCAサイクルに沿った効果的な事業実施を推進するとともに、保健事業に携わる専門職の力量形成を支援することを目的に実施している。参加対象は市町の国保保健事業担当者で、当日は保健師、管理栄養士45名が参集した。
冒頭で、骨太の方針2024に示された「経済・財政新生計画」についてその着実な推進に向けた『経済・財政新生計画改革実行プログラム』とその『EBPMアクションプラン』から、予防・健康づくりに関する事柄を中心に国の情勢を押さえた。国は、全世代型社会保障制度を構築しながら国民皆保険の持続可能性を堅持し、アウトカムとしてはこれまで通りデータヘルス計画の共通評価指標を定めて計画を推進し、糖尿病の重症化予防などに取り組むこととしている。そのために、EBPMアクションプランに沿ってPDCAサイクルを回しながら毎年度の取組についてアジャイル(柔軟、迅速)に政策・計画の見直しをしていく流れであることを学んだ。
今年度の学習会は、各保険者のデータヘルス計画に基づく保健事業のPDCAのプロセスを実践の流れに沿って体験する形で進めている。2回目まで、令和5年度の評価から保健指導優先順位と人数の絞り込み、実践の工夫などを共有しながら、訪問して住民の健診データを改善する実践の流れを追ってきた。今回(3回目)は、評価に向かうために、1人の対象者への指導回数の変化や令和5年度重症化予防対象者の改善の状況などを確認した。昨年度よりも指導回数が向上した市町では、定期的に進捗管理をすることで課題を共有し、声を掛け合うなどの取り組みを始めている等、できるところから変えることで前進していた。その他課題を解決した先進地域の取組から訪問件数を増やす過程について共有することができた。
データヘルス計画や保険者努力支援制度ではアウトカムが求められるが、まずは一人ひとりの健診データの改善が市町全体の健康課題の改善につながる。そのためには、住民の言葉をひろいながら、相手の意識を理解し、専門職に課せられている保健指導を地道に丁寧に根気よく続けていくことが必要である。アウトカムのために対象者を絞り込むのは、市町の体制などの都合であるが、まずは住民と出会わなければ解決は望めない。そのために、自分の業務時間をどう使うか、各職場で何を工夫するか、また年度末に今年を振り返り、うまくいったことやいかなかったことを出し合い、国の動きと同様に国保保健事業についてもアジャイルにPDCAを回していくための考え方を学んだ。
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